お疲れ様です。
超絶久しぶりのブログ更新になりました。
コロナ禍を見越して
フリーランスから副業サラリーマンになって4ヶ月が経ちました!
息苦しさ(生き苦しさ)をまた感じてきてしまった
今日この頃の佐藤です。
息苦しさといえば…
自分の愛用している時計が故障し
時計屋さんに修理を断られたら
愛着がある分だけ
「えっ…」ってな感じで
息苦しくなりますよね。
今日はその救済方法を初回します!
早速表題の件ですが
先日、ツイッターで茨城県の方から
時計の修理依頼を承りました。
詳しく内容を伺ったら
一世を風靡したセイコー スキューバシリーズの
クォーツ時計でした!
こんな名品を…なんと恐れ多い!
普通なら、時計屋さん持っていけば…って思いますが
そうもいかない内容なんですよ。
ということで今日は
- 時計屋さんが断わる修理内容とは
- 廃盤の時計を修理する方法
について説明します!
時計屋さんが断わる修理内容とは
時計修理のリスク
時計の修理を受けるにはリスクが伴います。
- 時計が治らなかった場合に修理が原因と疑われる可能性
- 故障状態からさらに悪化させてしまう可能性
- 修理中に傷つけてしまう可能性
- 損害賠償や弁償の可能性
とくに、4つ目の損害賠償や弁償の可能性が一番怖い
しかも
- 壊れる前の状態
- 壊れたときにどのような操作を行ったか
これらがわからない中でお客様に嘘をつかれたら
確認のしようがありません。
もし弁償を求められたとき
金銭で解決できるならまだマシです。(高級時計の場合は除く)
親の形見や代替がきかない時計の場合、
どうしようもありません。
このリスクを考えると企業では
- 古い時計や今にも壊れそうな時計は断る
- 限定品は断る(パーツが取り寄せれない可能性が高い)
- ブランドのコピー品は断る(壊れやすく、スペアパーツの供給がない)
こういった対応をせざるを得ません。
たった1本の時計修理を受けたことで賠償金を請求され
会社の評判が下げる恐れがあるならは断わりますよね。
そういったガイドラインを会社で用意することは当然ですし、
お客様への責任が故にお断りします。
断わる修理内容
新品のムーブメントが用意できなかったり
パーツの予備がない時計は断られることが多いです。
特にクォーツの時計は
歴史がまだ浅く、新しいムーブメントが出ても
比較的短いスパンで廃盤になったり
後継版が出たりと
メーカーを渡っての一般化されていません。
これは時計修理技能士2級で試験で
解体と組立を行うムーブメントなのですが
そんなムーブメントでさえ、これだけのパーツがあり
パーツの構造や回路の経路も様々です。
こんなムーブメントが日本で生まれ、
21世紀にはクォーツムーブメントが機械式時計が到達したされるとまで
言われたものです。
これに加え、時計は愛着や思い入れが湧きやすいモノなので
パーツの入れ替えなどせず、
今のパーツを使って治してほしいとまで言われることがあります。
そもそも
時計が止まる主な原因は
- 電池切れ
- 液漏れ
- 回路断線
- パーツの破損
- 汚れ・サビ
- 油切れ
恐らくこれらに集約されると思います。
それぞれ対処としては
- 電池切れ→電池交換
- 液漏れ→変質した部分を削るかパーツ交換
- 回路断線→パーツ交換
- パーツの破損→パーツ交換
- 汚れ・サビ→パーツ交換または分解清掃
- 油切れ→分解清掃
半分以上の原因に対してパーツ交換が有効なんです。
これを裏返すと、
交換するパーツが手に入らないと
オーバーホールまたはパーツを作るしかないんです。
こうなると費用が高くなりますし、
工数が増えるほどリスクが増えます。
合理的に判断すると
パーツの新調ができる時計のみ修理を承ることで
企業として責任問題になるリスクを回避します。
だからこそ個人同士が許し合える範囲内で
修理を受けた方がいいと考ました。
修理を断られた時の解決策
前述の責任に関する問題を考えると
損害賠償は個人でも請求されるから
個人も企業でも関係なくない?
って思いますよね。
確かに、クレームに対するリスクや対応は変わりません。
個人のメリットは
仕事の内容に対して
自分の裁量で方法も料金も定めることができます。
企業や他店舗展開すると、
料金表や品質を定め、均一にする必要がありますし、
消費者はそういった対応を求めますよね。
そのため、品質がわからない中古品から
パーツを取り替えるなんていう
質が担保できないことはやりたがりません。
だからこそ個人がやるんです。
修理事例
見ただけじゃわからない!
今回修理依頼を受けた時計は
時計屋さんで電池交換を依頼したが
もともと入っていた電池の品番が違うと言われ
正しい電池を入れてもらったにも関わらず
数分後には止まってしまったようです。
それから数日、時計屋さんとは連絡がつかず、
このブログ経由でご連絡をいただきました。
まず、裏蓋を開けてみると電池が飛び出てきました。
たまにあるんですよね。
ボタン電池のプラス極に接触する爪が弱く安定しなかったり
マイナス極に接触する爪が反り返りすぎて、電池が浮いてしまったり、
これは使用している時の振動や
過去に電池交換をした時計屋さんが癖づけてしまったりと
様々な要因が考えられます。
中には、裏蓋で押さえつけるムーブメントもあるので一概には申し上げられませんが
多くの場合パーツの変形が原因なので
どこが原因かわかれば悪化させない程度に手を加えます。
裏蓋を開けた時の画像をもう一度見てください。
どこに違和感ありますか?
………………………
そんなもん、見てわからんすわ。
コイルも傷ついてないし、電池の接触部分液漏れした形跡があるわけでもないですね。
中央部分のNO JEWELS SEIKO TIME CORP 7N45と
記してある金属の部分を始め、表から見える各パーツは
錆びたりせず、綺麗なので
回路自体に問題があるか、マイナス局側のパーツに異変があるか
油切れが問題でしょうか。
そうなんです。
時計の修理なんて
蓋を開けてみても原因が分からないので
依頼されたときなんて、何も分からないんです!
でもこれでは、費用の概算もできないので
修理依頼しようかさえ、判断できないですよね。
なので私の場合は基本的に中古で稼働している
同じムーブメントから作られた時計を用意します。
色違いを用意
正直申し上げると、メルカリやYahooオークションなどの
フリマアプリがめちゃくちゃ便利!
アンティークウォッチも結構出回っているので
色違いの稼働品は探せばあるんですね。
ではこの左の時計からムーブメントだけを取り出し、
右の時計と入れ替えます!
これで理論上動く!!!笑
解体
蓋を開けたら、リューズを外し、ムーブメント一式を取り出します。
ここからさらに、剣抜きを用いて針を外します!
針の外し方はこちら↓をご参照ください。
こうなるわけです。
このときにもう一度、どこかに部品の劣化がないかを見ます。
- ケース側に手垢がこびりついてないか
- 彫刻部分の墨が剥げてしまっていないか
- 文字盤に水滴や埃がこびりついてないか
- 針は歪んでないか
ここで確認しておくことで作業工程が若干異なります。
こうした一連の分解作業を、両方とも行います。
このようにパーツを並べると
修理してる感が出ますよね。
組立
ここでもう一度確認することがあります。
それはパーツを入れ替えても問題なく作動するかです。
工業製品なので、同じ品番であれば互換性はあって当然なのですが
扱う部品も中古なので
どう言った不具合が出てくるかは分からないですよね。
なので念のため、リューズ操作に問題がないか
針はしっかりとはまるか、
文字盤の固定位置など確認します。
これを確認したら
爪楊枝やロディコ、エアダスターでパーツから埃を取り除き
綺麗な状態で組立を行います。
やりすぎると塗装がはげたり、パーツを痛めてしまうので
ここで一番気を使います。
組立後の画像を撮るの忘れました!
いかがでしたでしょうか!
ムーブメント交換は結構汎用的な修理方法です。
ムーブメントの替わりが見つからないと
ムーブメントを全て解体し、パーツを洗い、
組立直します。
つまりはオーバーホールです。
クォーツのムーブメントには電子回路が含まれ、
どの線がどのような形状をし、どこにつながっているのか、
明かされていないので
どこを摘めばいいのか、影響が一切ないか
疑い始めるとキリがありません。
なので私は、
「最悪動かなくてもいいが
動くかもしれない可能性の全てに挑戦して欲しい。成功報酬のみ払う。」
という条件でのみクォーツのオーバーホールを受けます!
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